【書評】山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る

【書評】

概要

iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中氏と、大学で同級生だった小児脳科学者の成田氏による、子育てに関する対談をまとめた本。自身がどのように育ったか、子供をどのように育てたか、子育てに大切なことを何かについて意見が交わされている。

本書からの学び

神戸大学医学部で同級生だった山中氏と成田氏が、当時の思い出話も交えながら子育てをテーマに対談する内容だった。それぞれの分野で活躍し、お互いに尊敬しあっている両氏による対談なので、話の中から気づきを得ていることも多く、上質な対談形式の講演を目の当たりにしているようだった。

印象的だったのは、「レジリエンス」に関する箇所だった。「レジリエンス」とは困難を乗り越える力のことだ。「レジリエンス」は、「自己肯定感」「社会性」「ソーシャルサポート」の3つの要素で向上させられることが最近の研究により分かったそうだ。

  • 自己肯定感:ありのままの自分を肯定する力
  • 社会性:周りの人と関係性を上手く保つ力
  • ソーシャルサポート:周りの人に助けられていることを実感する力

当初、「自己肯定感」「社会性」は何となく理解できたが、「ソーシャルサポート」に関してはピンとこなかった。しかし、この本を読んで1週間ほど過ごしてみて、「ソーシャルサポート」を持つことより周りに感謝の念を持つことができるし、支えてくれている人達のためにも頑張ろうという気持ちになれることなのかと思うようになってきた。

個人的には、山中教授が語る自身の経歴も面白かった。若くしてノーベル賞を受賞し順風満帆の人生を送っているのか思っていたが、若い頃は研究テーマがなかなか定まらず、米国留学から帰国した際は周囲の理解を得ることができず鬱のような状態になったこともあるという。そのような状態から色々な人からの助言・サポートを受けて乗り越えてきたことを知り、乗り越える力である「レジリエンス」は重要だと感じた。

そして現在も後進の教育などで悩んでいるとのことで、悩みがあるのは皆一緒だと当たり前のことに気づくことができたし、「面白がる力も大事」という意見には小山薫堂氏との共通点も感じられた。

また、成田氏は自身がADHD(注意欠如・多動症)だったのではないかと認識しており、幼少時からの苦労した経験が現在の仕事で非常に役立っているそうだ。最近はADHDという言葉が一般的になり、子供の教育も少しずつ多様性を意識したものになっているようだが、昔はそのような概念がなく大変だっただろうなと思う。成田氏のような医師に巡り合えると子供も親も安心できるだろう。

この本は子育てを考えるのにいい機会にもなるし、よりよい社会を作るにはどうするか、自分自身をどう育てるかという視点でも役に立つと思う。

活かせるポイント

  • ほったらかしが子供を伸ばす
  • ええかっこしいを止める
  • 一貫性なんてなくていい
  • 早寝早起き朝ごはんが全ての基本
  • 子育てに正解はない
  • 子供を信じる
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